「しゃべりすぎることへの不安」の研究

研究者:<れいぞうこ>

概要

「会話に詰まる」現象の裏側にある、「しゃべりすぎることへの不安」について分析した。

すると、<れいぞうこ>は、今自分が参加している会話が「価値のある会話」(=プラスの会話)か「価値のない会話」(=マイナスの会話)かを常に気にしていることが分かった。

どのような会話が「プラス」で、どのような会話が「マイナス」なのか整理し、記述した。

 

 1.研究の動機

・<れいぞうこ>は、仲間と会話している最中に、「会話に詰まる」経験が多数あることが、研究メンバーから指摘された。

・<れいぞうこ>は、何かを話そうとしていたのに、「ああごめんやっぱいいや、」「あ、これは今話すことじゃなかった、ごめん」などの発言でその先を言わなくなることが何度かあった。

・<れいぞうこ>本人に、このことについて尋ねたところ、この現象の裏には「しゃべりすぎることへの不安」があるのではないか、と仮説が提示された。

・研究チームを組み、<れいぞうこ>が持っている「しゃべりすぎることへの不安」について研究することが決められた。

 

2.研究の目的

・<れいぞうこ>が、会話に詰まる理由について、自分の言葉で他の人に説明できるようになる。

・研究チームのメンバー自身が、<れいぞうこ>が会話に詰まった瞬間に遭遇した時、<れいぞうこ>の中で何が起こっているのかその場で想像できるようになる。

・<れいぞうこ>以外の「人前で上手く話せない」と感じる人が、自分に起きていることを説明するために助けになる情報を提供する。

 

3.研究の方法

 <れいぞうこ>の学科の友人とチームで研究を行った。

 まず、「しゃべりすぎることへの不安」について、<れいぞうこ>が自己分析を行ってメモを作り、学科の友人に向けてそのメモの内容を見つつ、自分の分析について語った。学科の友人は、<れいぞうこ>が語った内容をメモしつつ、その中で理解できない部分や、引っかかった部分があれば質問した。学科の友人が取ったメモを、再度<れいぞうこ>が受け取り、その内容について<れいぞうこ>が修正を行った。


4.研究の結果

<れいぞうこ>の不安を説明するために、「会話の通知表モデル」が提唱された。

 

一、基本の考え方

・<れいぞうこ>は、今自分が主体的に参加している、または参加しようとしている会話が、「価値のある会話」(=プラスの会話)か「価値のない会話」(=マイナスの会話)かを常に気にしている

・プラスがたくさんあっても、マイナスが少しでもあるなら、その会話に参加したくない

・人間関係はGiveTakeで成り立っている。価値のある会話=自分が誰かに貸しを与えられる会話であり、価値のない会話=自分が誰かに借りを作ってしまう会話である。

Takeばかりしていると、相手にウザがられる、相手に主導権を握られる(ATM化する)、自分が罪悪感を覚える、などの弊害がある。

 

二、プラスの会話

定義:<れいぞうこ>が誰かにGiveできたこと=相手が満足すること(相手が満足すれば自分も満足する)

1.話を聞いてあげる

・相談にのる

・聞いてあげることで、相手の気持ちを開放させる

・話したいことを話すとスッキリできる

・心を楽にできる

・見ていて「自分が相手のために良いことをしたなぁ」と感じる

・自己効力感が高まる?(集団の会話よりも個人間の会話の方が得られる自己効力感が多い)

2.盛り上がっていてみんなが面白い会話

・話が盛り上がっている

・みんなが楽しんでいる

・盛り上がるような話題

*なお、「相手に情報を与える」ことはプラスの会話にはなりにくい

例:質問に答える

 

三、マイナスの会話

定義:<れいぞうこ>が相手にTakeする(借りを作る)こと=相手に迷惑をかけること

1.時間を使わせる

・相手に無駄な時間を使わせること

・「コイツつまらないから、コイツと話して時間をムダにした」と思われるのが嫌

2.気を遣わせる

・周りの雰囲気に合わせて、相手に

・お世辞を言わせてしまう

・仕方なく盛り上げてる人が出る

・自分に合わせさせてしまう

・自分がその場の空気を作ったことで、その空気に付いてこれない人が出る

・相手が興味の無い話を延々とする

・空気に従えという圧力を相手にかけているかもしれないことが嫌

3.相手が話したいタイミングで話せない

・相手が話すタイミングを奪う

・みんなが話してる最中で話題を「盗む」

・話し過ぎると迷惑になる

(他の人が話したそうなら口をつぐむ)


5.研究の考察と感想

<れいぞうこ>

僕が集団での会話が苦手である、という事例について議論が交わされた。集団での会話が苦手なことは、僕自身はひとつの可愛い個性だと考えてはいるが、その個性により数々の損を経験してきたような気もする。僕の得意な会話方法をこれからどのようにさらによいものに成長させられるか。僕の苦手な会話方法を意のままに使いこなすための魔法の杖はどこにあるのか。これらを考える上で、現状を知る良い機会になったと思う。

 

<べとりん>

「会話の通知表」モデルで見えてきたのは、彼の持っている「価値のある会話」の基準が、私と大きく違うことである。特に、「プラス」の基準が少ないことに驚いた。私自身は、彼との会話の中から色々な「Give」を受け取っていると感じているので、今度彼との会話の中で、何か自分が楽しいと感じたことがあれば、積極的にそれを口に出していこうと思った。

 

*追記

この研究を通して大きく変わったため、

今の<れいぞうこ>の考え方は、この研究をした当時とはかなり異なっている。