努力性依存&別回路閉鎖モデル


概要:

過敏性逃避&別回路形成モデルと似たモデル。別名「自販機依存」モデル。

承認や生きる意味などの、「その人にとって必要な何か」について、

「供給源」を想定し、考える。


詳細

その人が生きる上で、「必要不可欠な何か」もしくは、「絶対に必要ではないけど、できたら必要な何か」を想定する。

承認や自尊心、自己肯定感、生きる意味、などなど。

以下では、「異性との関わり」を例に考えてみる。

 

なお、これらは、通常の状態に置いては、 

(1)十分に満たされている もしくは、(2)十分に満たされているわけではないが、これ以上手に入れる方法がない

という状態にあるため、安定している。(1)を状態1に示した、

 

これが、以下の条件を満たす場合、「努力性依存&別回路閉鎖」と呼ばれる状態になる。

①慢性的に(1)通常よりも少ない供給量(2)もしくは通常よりも多い要求量

 つまり、この例では、異性との関わりに飢えているとする。

②複数ある供給源のうちの一つが、(1)供給を維持するためになんらかの努力を必要とする(2)なんらかの努力によって供給を増やせる のどちらかに該当

 例えば、お金さえ払えば、自分と関わってくれる異性がいるとする。


このような条件を満たすとき、②の供給源のことを「自販機」と名付けてみる。すると、

①「その努力することによって供給を維持できる」というパターン化が強まり、

②それが不足する度に「自販機」のことしか考えられなくなり、

③他の供給源の存在に意識が向かなくなる。

という現象が起こる。


このような状態を、「努力性依存&別回路閉鎖」と呼んでみる。


考察


例:

ある剣道部員が、大会に向かって努力していると考えてみる。

彼が過去に試合で勝利したことでかつてない自尊心の高まりを感じることができたとする。

彼は、勝利以来、試合に向けて練習をずいぶんするようになる。

あれ以来、試合ではなかなか勝つことができないので、彼はどんどん自分に自信を失っているが、

ずっと遊びもせず、必死に練習を続けている。


「自尊心の入手方法」という視点で考えると、試合の練習にこだわり続けるのは、むしろ不都合かもしれない。

しかし、それでも彼は「試合で勝つ」という方法以外を考えることができない。



このような例を挙げてみると、むしろ「別回路閉鎖」は、「一つの目標に向かって努力する」という習慣にとってはプラスにはたらく。

逆に、「自尊心」の供給源が、ネットゲームを遊ぶとか、他にもたくさんある場合、わざわざ大きなコストをかけてまで、剣道の試合で勝つ必要性はないと考え、何も努力しようと思わなくなるかもしれない。

人が、何かの不足を埋めるために頑張るのだとしても、それを「○○を得るための手段」としてしか見なさなくなれば、何か一つのものを頑張ろうというこだわりは失われてしまうかもしれない。

ある程度は、いくつかの「思い入れのある回路」にこだわる姿勢が必要のように思われる。